『──で、あるからして──』 今日は終業式。 つまり明日から夏休み。 しかし、生徒がこの休みを手に入れるには“校長の長話”を乗り越えなければならない。 だけど相変わらず“で、あるからして──”の繰り返しで終わる気配がない。 ・・・もっとちゃんと話まとめてから話しろっての。 「あ〜あ・・・この調子じゃまだ終わりそうにねぇなあ」 俺の後ろにいる雄二がつぶやく。 「まあ、明日から始まるサマーバケーションの為にも耐えるしかないな」 そんな馬鹿話をしているうちに校長のあ・り・が・た・いお話が終了する。 ありがとう、校長先生。 これで僕らは将来嫌な上司からの説教話も素直に耳の左から右へ送れそうです。 「いや、それはいいのか?」 雄二が突っ込んでくる 「人の心のささやきにまで突っ込んでくるなよ・・・」 ----------------------------------------------------------------------------------- 「あ〜暑いわね、タカ坊」 「うん、そうだね・・・ってか、なんで人が洗濯物を干してるのを見てるの?」 「いいじゃない、暇なんだし」 ・・・・。 そりゃ、俺は家政婦みたいなもんだし、洗濯も仕事の一部だし、それに文句はない けど・・・けど・・・ 「やっぱり、女物の下着を俺が干すっていうのはどうなのかな?タマ姉?」 「・・・んー、世間一般ではそういうの気にするみたいだけどね、私は気にしないわよ、タカ坊だし」 ・・・いや、タマ姉が気にしなくても俺が気にするんですが。 しかも、そのまさにタマ姉の下着を干すところを後ろで見られてると思うと 別にやましいことはないのだが、妙に気恥ずかしい。 そんな俺の心中を察してなのか、タマ姉が・・・ 「タカ坊、遠慮してないで臭い、かいでもいいのよ・・?」 なんて、事をいいやがりました。 「からかわないでくれよ・・・」 そんなやり取りをしていると雄二が現れて 「姉貴・・・それは逆セクハラってやつだぜ」と言って去って行った。 その数秒後、雄二が無残な姿に変わっていた事はいうまでもない。 アーメン。 -------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 「タカ君、タカ君〜〜〜〜!!」 洗濯物を終えて、タマ姉とまったりテレビを見ていると このみのそんな、騒がしい声がした ゴツン── 「うぅう〜・・・痛いでありますよー・・」 何やってんだか。 「このみ、どうしたの?」 タマ姉がたまらなくなったのか このみを迎えに行く。 さすがに俺も放っておくわけにはいかないので、重い腰をあげて立ち上がった。 「どうした?このみ」 俺が部屋の外にでると尻餅をついたのか、お尻をさすって困ったような顔をしているこのみが居た。 「このみ・・・それは?」 タマ姉がこのみのそばに落ちている封筒のような物を指差す。 誰かからの手紙だろうか・・・? 「えへ〜、今日はこれを届けに来たのでありますよ!」 「へぇ?誰からかしら?」 「ささら隊長からタカ君伍長に」 ──っ ドクン、と俺の心臓が高鳴った。 ささらから手紙──? 気付くと俺はこのみからその手紙をすばやく奪いあげていた。 「あ、タカ君・・・」 俺はそんな事を気にもせず、いそいで手紙を開いた。 『貴明さん、元気にしていますか? お手紙って書いた事ないから、ごめんなさい。 この手紙を書いている今も、すごくすごく貴明さんに逢いたくて・・触れたくて・・・ ごめんなさい、何書いてるんだろう、わたし・・・ そちらの生活はどうですか?ちゃんと正しい生活を送っていますか? 本当に、何もかも心配でキリがないくらい・・・ こっちはやっぱり慣れない土地だし、なにより普段英語を使わないといけないので大変です それと、生徒会のほうはどうですか?ちゃんと環さんはやってくれてますか? 一通りは説明したのだけれど、やっぱり色々と細かい仕事も多かったから、心配です 貴明さんならいつも一緒にやっていたから分かってるだろうけど・・・ それと・・・貴明さん、ささらからお願いがあるの・・・ 聞いてくれる・・? 文通というのもいいけれど、やっぱり届くのに何日もかかるし、寂しいです。 なので、こっちで日本語の扱えるパソコンを買ったので できれば貴明さんもパソコンをつかって、ささらと毎日メールしてほしいの ダメ・・? ダメなんだ・・・ ダメなのね・・。 ご、ごめんなさい とりあえず、私のアドレス書いておくから・・・待ってます xxxxxx@xxx.com 追記:なんかよくわからないお手紙になってしまってごめんなさい 貴明さんのささらより 』 ・・・・・。 俺の身体は何かたまらないものがこみあげ、震えていた。 「タカ君・・・」 「タカ坊・・・」 このみとタマ姉が心配そうに俺を見上げる。 よし・・・俺は決めたぞ。 「あの、2人供、今俺1つ決めたことがあるんだけど聞いてくれるかな?」 -------------------------------------------------------------------第4話につづく 『子供の心/大人の心』第3話