俺は、”あの場所”を目指して走り出していた──

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全ての原因の根元のある場所──。

そこは、思い出の場所でもあった。

「──ことり・・。」
魔法の桜の木の下で、ことりが歌っていた。

透き通るような綺麗な歌声。
それは確かに以前聞いた物で
それでも以前聞いた物とは違った。

矛盾。

だが、ことりの彼氏である俺には、そんな繊細なことりの心が表れた
この歌声の違いを理解することができた。

「こんちわッス♪」
ことりがとびっきりの笑顔でいう。
「・・・え?」

それはまるで──
昨日までの事が嘘かのように思える笑顔だった。

「ことり、心の声は・・頭痛は?」
俺は文章になってない、単語の組み合わせでことりに問う。

「・・ここは、何もかも真っ白にしてくれるところなんです・・」
俺は以前、同じような言葉を聞いた事がある。

『──私、歌いだすと周りが見えなくなるというか、頭が真っ白になるんです──』

「だから、私はここに居れば頭痛とも心の声ともおさらばできちゃうんですよ」
えへへ、とことりが笑って、再び歌いだす。

だが俺は、それを素直に喜べなかった
だってそれは・・

“過去の繰り返し”ではないのか──。

それは、だめ──だ

また前のように、“裏づけ”がないと何もできないことりには戻ってほしくない
俺は、この能力にことりが再び慣れてしまって、当たり前になってしまわないうちに
なんとかしなければならない。

ことりのためにも、
そんなことりが愛しくてたまらない、俺自身の為にも。

・・・俺ならどんなに苦しんでもいい。
だから、ことりに苦痛を与える能力を消してくれ──。

結局俺は、ことりが歌い終わるで
その歌声に聞きぼれながら、桜の木のしたにいた。

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「ごめんね、なんか私に付き合わせちゃって」
ことりを送っていく道のりの途中で、ことりが申し訳なさそうに言う。

「いや、相変わらず綺麗な歌声で、俺も途中寝てしまいそうになったよ」
「・・・寝てたくせに」
ことりが「ぷぅーっ」と頬を膨らませながらいじけたように言う。

「・・ねえ、どうして笑ってるの?」
ことりが顔を覗き込みながら言う。

拗ねて頬を膨らませたことりがどうしようもなく愛しくなって
自然と笑みがこぼれただなんてとてもいえない。

「・・・なんでもないよ」
俺は、そんな本音を誤魔化すように言ったが、横をみるとことりの顔が真っ赤だった

「・・・ことり・・?」
あ・・・・。
ここで気づく。
そうだ、ことりには心の声が聞こえるんだった・・。

「・・もうっ・・。」
「ごめん、やっぱり聞こえちゃったか」
「全部、全部、聞こえるんだから・・!」
ことりがポカポカと俺の胸を叩く

「そっかー、じゃあいやらしい事とか考えても全部ことりに分かっちゃうんだなー」
俺は笑いながらちょっと意地悪な冗談をいってみる

「・・・もうっ」
ことりの顔が赤く染まる。
いやはや、ことりはいじりがいがあるなあ

「・・・私ね、思ったの。」
「・・うん?」
ことりが、何やら決心したような表情でいう。

「私の頭痛も、心の声が聞こえるのも、純一君が居れば、2人の間には何の支障にもなりえないんだって」
「・・・ことり・・。」
「だってね、1人でいるとやっぱり声が気になって、頭痛がして・・
でも、純一君といるとね、そんな事考える暇もないの」

そうだ。
何故さくらの木が再び咲いて、ことりの能力が戻ったのかはしらない。
でも、はたしてそれが、何だというのだろうか?

確かにことりは頭痛で苦しんでいる。
でも、俺とことりとの間に、その程度のことで障害となりえるのか?
否──

なりえない。
だって、こんなに心が暖かくて、どうしようもなく愛しくて
俺には心を読む能力なんてないけれど、ことりを理解していて──
ことりだって、俺の事を理解してくれている──

「・・・そういう事ッス♪」
「・・ああ、ことりが辛いなら俺がずっとそばにいてやる。」

「……うん、ありがとう…。」
その日ことりは、俺の家へ泊まっていった。

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『・・魔法はね、人を幸せにするためにあるのよ』

『本当?私にもまほーつかえる?』

『もちろん、もうちょっと大きくなったら教えてあげようかね』

『やったー、絶対絶対だよ!』

『・・・はいはい、約束約束』

おばあさまはそう私に言ってくれた。
私にも魔法は使えて、私が大きくなったら教えてくれるのだと

でも──
おばあさまは・・──

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「・・・くん」
・・・・誰かの声が聞こえる。

「・・・いちくん」
「・・・じゅんいちくん!!」
ことりの声で目が覚める。
目をあけると、ことりが涙目で俺の身体をゆすっていた

「・・・ふわぁ〜、どうしたんだよ、ことり?」
ことりが涙目のまま何も喋らないので聞いてみる。
・・・あ、寝癖がひどいとか?

「・・・みて、これ・・」
ことりが俺のふとんを指差す。

「──なっ」
するとそこには、俺の目を疑うような光景が存在していた。

第5章へつづく