ザワザワザワ──

会場ではすごいざわめきが起こっていた。
中には丸で自分の事のように騒いでいる者。
瞳に涙を浮かべている者。

そんな色々な表情を俺は、緊張した面持ちでコッソリ眺めていた。

さて、お姫様はまだかな?
俺は緊張しつつ、それでも待ちきれない、そんな感じだった。

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『ことりっ!』
家に帰るとことりやアイシアはさっきと全く変わらない位置にいた。
でもそれは嫌な空気ではなく、まるで皆俺を待っていてくれたかのような
そんな暖かな空気だった。

『ことり、俺は俺達を邪魔する魔法に勝る覚悟とアイテムを持ってきた。』
そんな俺の様子をみて察したのがサクラがちょっといぢわるそうな顔でいう。

『お兄ちゃん、今度は責任重大だよ?』
ニヤリと笑うサクラをよそに、アイシアはキョトンとした表情で首を傾げていた。

ことりも分かってるんだけど分かって居ない
なんだろう、そんな感じの表情だった。

『ことり、俺とことりは付き合ってる。
 俺は壇上でことりに“好きです”って告白してもらった。
 でも今度は違う、今度は俺が・・・・』

そうして俺はさっき俺の貯金(正確にいえば親のだが)を全部おろして買ってきたものを
ポケットからだす。

ことりも緊張した面持ちでそれを眺めていた。
そして──

『ことり、俺はお前を愛してる!お、俺と結婚してください!』

「え・・あ・・え?」
ことりも戸惑ってるようで、アタフタと色んな方向に手を振っていた。
やがて、落ち着いたかと思うと人瞳に涙をうかべながら

「喜んで」

ことりは今までに無いまぶしいほどの笑顔で、そう言った。

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あと5分。
そんな時、俺の背後でノックの音がした。

ドアをあけるとそこには──

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『え〜・・・大変ながらくお待たせしました』
司会者もとい、杉並が挨拶をすると会場はしずまりかえった。

そして、
『新郎新婦の登場です!』
パンパンッ──
一際大きなクラッカー音とともに扉が開かれる

そして、新郎──朝倉純一  新婦──白河、いや朝倉ことりが入場してくる。
それと同時に会場は盛大な拍手につつまれる

「ことり、おめでとー!」
「朝倉、白河さんを泣かせたら承知しないからねっ!」
「朝倉・・・ことりを、泣かせるんじゃないよ」
「白河さん、おめでとう、幸せにね!」

そして2人はステージの上へ立つ。
『朝倉、もとい新郎。妻、白河ことりを愛する事を誓うか?』
「はい、誓います!」
『では、新婦。白河ことり、朝倉純一を夫とし愛する事を誓うか?』
「誓います」
『では、誓いのキスをぶちゅっと!ぶちゅーーっと!』
そして、2人は照れながらも顔を近づける・・・
中には「ま、壇上でやるぐらいだからこれぐらい平気よね」とはくものもいた

そして2人の唇が触れ──

ガタンッ
大きな音とともに扉が開かれる。

そしてそこには・・・『ごめ〜ん、兄さん遅くなっちゃった』
と息を切らせてやってきた朝倉音夢の姿があった

この予想外のゲストに会場も騒がしくなる。
そして、「今日から、私の妹ですね、音夢さん」
「ええ、不束な兄を宜しくお願いしますね、姉さん」

こんな、まぶしい光景が広がっていた。

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魔法の桜──

私が皆の幸せを願い、そして再び咲かせたこの桜。
それは結婚式が終わると同時に桜の花びらを散らせ、今は完全に散っていた。

「これで・・・これでよかったんだよね?おばあちゃん」
誰にいうわけでもなく私は空にむかって問う。

「よかったんだよ、それで。」
私は声のするほうに振りかえる。

「さくら・・・」
さくらは大きなカバンにマントを羽織って、優しい目で私を見つめていた。

「アイシア、何故あなたのお婆ちゃんが魔法で人を幸せにしたあと
 各地を転々としていたか、教えてあげるよ」

「え・・・?」
さくらの突然の言葉に、私は呆然と、そんな声にならない声しかでなかった。

「1つは色んな人に幸せを分けてあげたかったから。
 2つ目は“魔法”が当たり前になっちゃうと人は自分から動かなくなる。
 それが当たり前になってしまうから。
 それが当たり前になると、幸せじゃなくなるの。
 たとえばボクの好きな和菓子だってずっと毎日毎日食べているとね、
 昔は大好きだったはずの和菓子が“好きなもの”ではなくなってしまうの。
 幸せはたまに来るから幸せなんだし。
 花は枯れるから綺麗。
 “永久”とは何も変わらない、作られた空間でしかない。
 “変化”。
 自分で幸せを掴もうとする行動、“変化”こそが皆のいう“幸せ”なの。
 だから、完全に魔法ばっかりで人を幸せにするのもよくないの。
 アイシアのお婆ちゃんもそれが分かっていたからこそ各地を転々としていたのよ」

さくらの言葉に私は何も言い返せない。
確かに、さくらの言うとおり、でも──

「それでも私、魔法で人を幸せにするっていう夢、諦めませんから」

そんな私の言葉をきいてか、さくらはやれやれといった感じで肩をすくめた。

「ええ、だからボクが魔法を教えてあげるよ。
 修行もかねて、これからアイシアのお婆ちゃんがしてきたように
 ボク達も各地を転々として幸せを分けに行こうか。」

まさか、さくらはそのために・・・?
「でも、さくらはいいんですか?純一の事・・・」

「いいの。別に白河さん・・じゃなかったことりさんと結婚したってお兄ちゃんはお兄ちゃんだもの」
そしてさくらは大きく息をすいこんで

「ボクも、アイシアみたいに人の幸せを見ることがボクの幸せみたいだから」

こうして、2人の魔法使いは初音島を後にした。
“想い”という小さな魔法を残して。

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俺とことりの結婚式から半年。
結局ことりは俺の家に引っ越す事になり、今は完全に主婦をしている。

そして俺は近くのファミレスで働き、それなりの給料をもらって
家庭を支えている。

そして今日も仕事を終え、家にかえる

「おかえりなさい、あなた。お風呂にする?ごはんにする?それとも・・・」
なんて、馬鹿なやりとりを毎日繰り返している。
繰り返す馬鹿げたやりとりも、何もかもが新鮮で、幸せで──

半年前。
さくらとアイシアは何も言わずに居なくなったが、それは俺もことりもなんとなく分かっていた。
そしてそんな2人の魔法使いの贈り物なのか。

「ことり、今日はどうだ?」
「うん、私のおなか、ドンドンって蹴ってた」

ことりのお腹の中には俺とことりの子供が宿っていた。
暦先生は「結婚して早々・・・」なんて言っていたが
俺達はこの子ができたとわかった時は2人して喜んで、赤飯なんて慣れないものも炊いたりした。

この幸せが永遠に続きますように・・・。

そして今、“生命”という1つの奇跡が、誕生しようとしていた──。



魔法の桜──     FIN


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あとがき。

まずは、魔法の桜──をここまで読んでくださった皆様。
本当にありがとうございます
新年の抱負でことりを幸せにするといったのでちょっと頑張ってみました
・・・がどこか自分でも納得できるのかできないのか微妙な感じになってしまいましたが
いかがでしたでしょうか?

結婚ENDは皆様予想がついてたかと想われますが
妊娠は想像してなかったのではないでしょうか?(笑)

ともあれ、これで魔法の桜──は終わりです。
本当に今までありがとうございました